事業内容

Medical事業部
(医療用機器事業)

自動車のエンジン部品や工作機の開発・製造で培ってきた堅実なものづくり体制をベースに、先進医療に寄与する医療機器の研究開発に取り組んでいます。日進製作所グループに医療という次代の柱を確立し、未来の医療に貢献します。

目指すのは、
業界に新たなカテゴリを生む、
革新的なものづくり

島根大学医学部整形外科学教室が構築する「骨折治療支援システム」の実現に向けて、産学連携で研究開発を行っています。これは、骨折治療で用いられる骨ネジを、患者自身の骨から形成するという画期的な試み。日進製作所は、切削加工によって複雑な三次元形状を製作する工業技術を医療に展開し、骨折部を接続する骨ネジを形成する「骨用複合加工機」の開発に取り組んでいます。

目指すのは、優れた加工精度や安全性はもちろん、手術中に医師が迷わず操作できる直感的なユーザーインターフェースを備えた新しい分野での医療機器であり、医療機器業界に新たなカテゴリを生む、革新的なものづくりに心血を注いでいます。

医療機器メーカーとしての
日進製作所

Medical事業部で取り組んでいるのは、部品製造だけでなく、ソフトウェア開発だけでもない、設計から開発、製造、運用までの全てを包括する医療システムの開発。日進製作所は今、完全に独立した医療機器メーカーのポジションに立とうとしています。

医療機器メーカーには規格・ルールの厳守や最大限の安全性の確保が求められ、異業種からの新規参入は困難と言われています。しかしわたしたちは、その高いハードルを日進製作所に根づく妥協のないものづくり体制で乗り越えます。継続的に改良を重ねていく堅実な開発・製造体制や、自動車業界でTier1としての実績を積み重ねてきた高度な品質保証体制をベースに、信頼と安全のシステムを供給する医療機器メーカーを目指します。

日本から世界へ。
70億人に貢献する医療機器を

今後、2030年を目標にMedical事業を日進製作所グループの第二の柱へと育てていきます。その第一歩が、骨用複合加工機の完成です。この試みが実現すれば、難治骨折で脚が動かなかった人がまた歩けるようになり、怪我をしたアスリートが再び本来のパフォーマンスを発揮でき、可能性のある子どもたちが将来を諦めなくてもよくなる、新しい未来が拓けます。

日本で基盤を築いた後は、海外への展開を考えています。まずは医学の中心地であり、医療のグローバルスタンダードとも言えるアメリカへと拡大し、その先はさらにアジアへ。世界中の患者の課題解決に、わたしたちが開発する医療機器で貢献することがMedical事業部の目指す未来です。

技術情報

日進FULFILは、
医療機器に求められる厳格なQMSの順守を
開発の基本に据え、6つの技術領域の融合によって、
未だこの世にはない新たな医療機器の創造に
挑んでいます。
その実現のために、技術戦略と薬事戦略とを
バランスよく連携させて安全性と有効性を高め、
効率的に開発を進めています。
医療の歴史に痕跡を残す製品を、
QMSの順守とものづくり技術の結集で生み出します。

当社技術
  1. 01 機構設計
  2. 02 構造設計
  3. 03 電気回路設計
  4. 04 アプリケーション/システム設計
  5. 05 組込ソフトウェア設計
  6. 06 品質保証

機構設計

モータなどのアクチュエータを使用し、機械の内部で動作する部品構造の設計を担います。産業分野で培った高速・高精度を実現する技術をベースに、幾多の難題を乗り越えて医療に通用する「安全」と「信頼」を併せ持つ技術へと昇華させ、医療機器分野への展開を図ります。

5軸位置精度制御設計
直角・平行を正確に構成し、空間座標を確保する設計を行うことで、ミクロンオーダーでの原点制御・位置制御を実現し、高精度な位置決めが必要とされる「5軸精密加工」を可能にしています。この技術によって、微細なコントロールが必要とされる医療環境にも適合する精度の実現を目指します。
動力制御設計
精密加工に必要な動力を正確に伝達させるため、バックラッシ・ロストモーションの制御や加減速時の慣性力の低減を図り、動力伝達によるロスの低減や精度向上を目指した制御設計を行います。また、リスクマネジメントに従ってリスクを最小限に抑えることで信頼性の高い医療機器開発へつなげます。
加工・自動化設計
加工精度の安定性を確保するには、ミクロンオーダーでの位置決め精度を制御するだけでなく、加工軸剛性を考慮した設計も重要な要素となります。最適な材料選定と加工部位の剛性を高める部品設計、さらにATC装置の導入によって、軽量かつ剛性に優れた加工・自動化設計を実現します。
シミュレーション・解析
さまざまなシミュレーション技術を導入し、構造解析による強度計算や流体解析などを実施。 課題を抽出して3D設計データ上で改良を繰り返し、試作回数の低減や試作精度の向上につなげます。また、3D設計データを用いて装置の信頼性や安全性を保証するための指標を見出し、設計に反映させます。

構造設計

安全性とデザイン性を兼ね備えた装置の開発を目指して、機器設計に取り組みます。製品全体の部品の材料選定から部品配置、筐体設計を行い、ゼロの状態から製品を形にします。試作後はデザインや機能を検証し、操作性や機能性のさらなる向上を目指します。

機能配置
医療従事者が誤操作することなく、快適に操作ができる機能配置を検討し、装置全体の操作性・機能性を高めます。また、医療機器に不可欠な「清潔」の確保にも配慮。患部に触れる部分は特に高い清潔レベルを構築し、ユーザビリティを追求しながらも安全確保を徹底したデザイン検討を行います。
筐体設計
医療機器の筐体設計において最優先するべきは、安全性の確保です。先駆的な装置の設計に取り組んでいるため、リスクマネジメントによって想定しうるリスクを徹底的に洗い出し、対策を立案した上で、要求仕様に基づいた部品選定、部品設計、試作を行います。試作後は評価と改良を繰り返し、広く人の役に立つ製品へと仕上げていきます。

電気回路設計

制御基板を製作するため、システムに合わせたアナログ・デジタル回路を設計します。また、システム周辺のハードウェアと接続するためのハーネスも設計。臨床現場で問題なく動作させるために電気的安全性評価を行い、他分野の技術者と連携してEMC規格に適合させます。

回路設計
アナログ回路やデジタル回路を設計します。高精度に動作するモータや機構部品を制御するための回路、装置内部やディスポーザブル製品内部の状態を制御・監視するためのセンサ回路などを電気CADを用いて設計します。医療規格IEC60601-1に準ずる安全性を確保するとともに設計検証・妥当性確認を実施します。
ハーネス設計
回路基板と周辺ハードウェアを接続するためのハーネスを設計します。電圧、電流、周辺環境に応じたケーブルの選定はもちろん、誤動作や周辺機器への影響を防ぐため、ノイズ耐性を高める対策を講じます。さらに誤組付け防止のため、製造プロセスにも考慮して設計し装置の品質を高めます。
EMC対応
電磁両立性への適合を確認するため、EMS、EMIを評価します。不具合が確認されれば、メーカーや機構設計・ソフト設計の担当者と連携をとり、ハードウェアとソフトウェアの両面から最適な対策を考えます。各専門分野に特化した技術者が一体となって問題に取り組むことで、IEC60601-1-2に厳格に適合した医療機器開発を目指しています。

アプリケーション/システム設計

C、C#、NCなど複数の開発言語を駆使してアプリケーション設計とシステム制御設計を行います。また、ユーザビリティ設計や高度な制御を実現するためのリアルタイム設計、ソフトウェアテストを実施し、医療現場で求められる高い安全性の確保を目指します。

ユーザインタフェース設計
ヒューマンファクターを考慮してインターフェースを設計します。医療現場での情報誤認や誤操作を未然に防ぐために視認性や操作性を高め、利用シナリオを想定して設計し、部門を超えてフィードバックを収集。さらにユーザーとなる現場の医師にも装置のモックアップを試用してもらい、広く意見を取り入れて改良を重ねます。
OS制御
多数のハードウェアでシステムを構築するため、多重タスクが発生した際のハードウェア制御や高い応答性が求められます。そこで、OSを用いてタスクの優先度管理を行い、リアルタイム制御を行なっています。また、OSも脆弱性が存在するソフトウェアのため、妥当性や安全性を見極め、セキュリティ面を考慮して設計します。

組込ソフトウェア設計

機器開発の工程で下流に位置するソフトウェア設計の役割は、設計された装置が想定通りに動くように「命」を吹き込むこと。マイコンによる周辺ハードウェアや基板上のICを制御するためのソフトウェアを、アセンブラやC言語を主体に設計します。

ハードウェア制御
モータやセンサ、メモリICなどの非常に小さな電子機器まで、さまざまなデバイスが連結された医療機器を正確かつ安全に制御するためには、全てのデバイス特性への正確な理解が欠かせません。データシートを読み込み、一つひとつのデバイスの動作を理解した上で全体を制御するソフトウェアを開発します。
リアルタイム設計
医療機器を安全かつ確実に動作させるためには、装置を構成する各デバイスをそれぞれタイミングよく動作させる必要があります。各デバイス特性を理解し、ノイズ等の問題を一つひとつクリアしながらタスク設計とメモリ設計を行い、高度かつ緻密なリアルタイム制御を可能にします。

品質保証

製品が医療現場で問題なく動作し、多くの人の健康に役立つことを目標に、顧客要求を満たしているか、安全性に問題がないかを出荷前後に評価・確認します。また製品の信頼性評価やサプライヤーの品質管理などを行い、品質の維持・向上を目指します。

信頼性評価
医療機器が誤診や治療ミスを誘発しないように、QMSに基づき、設計・開発の早期段階から徹底した信頼性評価を実施し、医療機器の品質、有効性および安全性の確保と向上につなげます。そのために適正な評価・計測機器や設備を選定・導入し、常に正確な評価結果を得られるように徹底管理します。
市販後安全
人命に関わる医療機器の開発では、問題へのスピーディーな対処が求められます。市場の情報を早期に収集し、原因を分析。必要に応じて各技術部門と連携しながら是正処置を講じ、予防処置に結び付けます。これら一連の対処をタイムリーかつ的確に行うことで製品のさらなる品質向上を目指します。
サプライヤー品質管理
QMSに基づき、機器開発に関わる全てのサプライヤーから供給されたデバイスが、定められた検査基準や検査方法に適合しているかを確認します。また、サプライヤーと協業しながら品質管理体制を強化し、当社製品に使用する全ての部品の品質レベルの維持・向上を常に推進しています。